昨年9月のスイス旅行記を今になって記す。
以前メルボルンの記事を書いたとき、「オーストラリアの首都はどこか」という問題を出した。それと同程度に難しいのが「スイスの首都はどこか」だろう。同程度に簡単というべきかもしれないが。つまりスイスもオーストラリアも首都とは別にメジャーな都市があり、そっちが首都と思う人がいるだろうからだ。オーストラリアはメルボルンとシドニー。スイスは東にチューリッヒ、西にジュネーブという有名都市がある。これらはいずれも首都ではない。もっとも、スイスと聞いてすぐチューリッヒやジュネーブの名前が出てくる人は、おそらく首都も知っているだろう。地理に疎い人というのは、スイスの都市の名前もおぼつかないだろうから。とはいえ「スイスの首都は?」と聞かれてすぐさま「ベルンでしょ?」と瞬殺するのは、全く愛想がない。相手を見下しているようでもある。だから「えーどこだったかなー、チューリッヒ?いや、ほら、あの国連本部のあるとこ、ジュネーブ?えーわかんなーい」と困った笑顔を見せ、「ベルンだよ」と男に言わせて、「そっかーベルンかー」とキュンキュンかわいく知らなかったぶりっ子して頭ぽんぽんされる女性が多数いるのである。いるかどうか知らないが (おっさん妄想乙)。
ともあれスイスの首都はベルンだ。そして東のメジャー都市チューリッヒや西のメジャー都市ジュネーブではないということが、首都がベルンである1つの理由だ。つまりチューリッヒはドイツ語圏の中心都市、ジュネーブはフランス語圏の中心都市。ベルンはドイツ語圏ではあるがスイス中央やや西、フランス語圏近くに位置している。都市の規模もチューリッヒやジュネーブより小さく、ここを首都にすればドイツ語圏あるいはフランス語に偏らず、政治的に都合がよいわけだ。
前置きが長くなったが、ベルンを昨年9月に訪れた。初スイス、初ベルン。チューリッヒから電車で1時間、小ぢんまりしたアーレ川に囲まれた石畳の旧市街は、街全体が世界遺産に指定されている。
画像はwikipediaより転載
ベルンという名前はドイツ語 Bär、英語の bear、「熊」に由来する。中世のこの街の創立者が狩りで熊を仕留めたという説がある。
市章にも熊がシンボルとして表されている。
画像はwikipediaより転載
そんなベルンには、熊公園がある。以前は狭い場所に閉じ込める形で飼っていたが、批判が高まり、2009年にアーレ河岸のオープンスペースを利用する形で再開園したらしい。熊を間近で見ることができる。
のそのそ歩いてたり
お休みしてたり。
川岸に降りると、同じ高さで見ることができる。
お、気づかれた。
俺ってイケメン?
2匹で迫って来る。なかなかの迫力。「お前はなぜ独りなんだ?」と言ってるかどうかはわからない。
熊のいる川辺の公園の反対側を向けば、川の対岸に旧市街を眺めることが出来る。いい感じだ。
公園を出て、アーレ川にかかる橋へ登る途中、道端のテーブルの上で猫がすやすやお休みしてた。世界のいずこでも猫は平和だ。
足に自信がある向きは、バラ公園まで足を伸ばすのも良いだろう。美しい旧市街地が一望できるらしい。私は時間がなかったので行けなかった。
橋を渡り市街を駅方面に歩いて行く途中、とあるお店の前に熊を偶然見つけた。
ベア・ドールの世界。かわいい! インスタ映え! インスタじゃないけど。
vom Passというデリカテッセンのお店だった。日本にもお店があるようだ。
入口の両側に別々のベア・ドールの世界が作られていたが、写真を失敗してこの1枚だけ。でもこの写真、とても気に入っている。おそらく昨年自分が撮った写真で、一番のインスタ映えじゃないかと。インスタじゃないけど。
以上、ベルンの名前の由来となった熊をテーマにしたベルン訪問記。
私のベルン訪問はまずバスで郊外のパウル・クレー美術館に行き、そのあとバスで熊公園まで戻り、そこからぶらぶら旧市街を駅方面へ戻ってきたのだが、なかなか良いコースだった思う。
パウル・クレー美術館はパリのポンピドー・センターや関空を設計したレンゾ・ピアノによる設計。デザインに特に興味のない向きも、ちょっと足をのばして行ってみて無駄ではないと思う。
www.myswitzerland.comベルン駅前から12番バス Zentrum Paul Klee 行きで15分ほど。駅に近いほうの12番バス乗り場は反対方向のLänggasse行きなので、道路を渡った向こう側のバス停から乗る。
帰りは12番のバスで熊公園(Bärenpark)で降りる。そこから駅までは1.5kmほど。その間に、大聖堂、アインシュタイン・ハウスなどなど観光スポットがある。