前に pronunciation という単語は動詞 (pronounce) と名詞で形が変わるため、綴りをよく間違われるという記事を書いた。
pronunciation /prəˌnʌnsɪˈeɪʃn/ - hidsgo’s diary
その中で動詞と名詞で形(綴り)の変わる単語を若干取り上げたが、よく見かける単語に他の例があったことに最近気づいた。動詞と名詞で形が変わる語などは検索すればリストが見つかるだろうが、この最近気づいた単語について記録しておく。 -claim で終わる動詞が名詞では i が取れて -clamation となるという、ただそれだけなんだが。
以下 v はverb (動詞)、n は noun (名詞)。
1. 返還を要求する。取り戻す。
空港の「Baggage reclaim」(手荷物受け渡し所)はこの意味だが、この場合 reclaim は名詞。ただし Baggage reclaim はイギリス英語で、他では Baggage claim。
2. 灌漑や埋め立てにより、土地や湿地などを利用できるようにする。
この意味の用法は、昨今の南沙諸島での中国の動きについてのニュース記事でよく目にする。例えば最近のこの記事。
China voices anger at G7 comments on disputed islands - BBC News
(China) has also been reclaiming land.
Experts say satellite images of the reclamation work could indicate...
上の文では動詞が、下の文では名詞が使われている。
ここでは(中国が南沙諸島で)海を埋め立てて飛行場などを作っていることを指す。
実はこの手のニュース記事で最初に reclamation を見たとき意味がわからず、動詞形も reclamate かと想像してしまったのだが、辞書を見て reclaim - reclamation の関係を認識した次第。すぐに同様のパターンで実はもっとよく知られている単語があることにも気づいた。それが次。
exclaim (v) - exclamation (n)
驚きなどで大声を上げるという意味の動詞だが、名詞の exclamation には「感嘆文」の意味もある。Exclamation mark は「感嘆符」つまりびっくりマークのことで、エクスクラメーションマークというカタカナ語でもよく知られている。この単語の場合 exclaim (v) - exclamation (n) と綴りは変化するが、間違うことは少ないと思う。それは学校で習う基本単語ということもあるが、エクスクラメーションというカタカナ語のために exclamation を exclaimation (エクスクレイメーション) と書き間違うことはないためではなかろうか。
ちなみに感嘆符は先月イギリスでちょっと話題になった。イギリス教育庁 (DfE: Department for Education) が7歳児童の学力テストの指針として、What か How で始まり動詞を含む感嘆文の最後につける感嘆符以外は点数を与えないと通達を出したからだ。今の時代、子供も大人もみんなメールやSNSで感嘆符をいっぱい付けたメッセージを書いているわけで、ナンセンスとか表現の自由を妨げるとか批判や怒りが新聞記事やツイートに現れた。
'Give us a break!' Anger over exclamation mark crackdown | The Week UK
3月6日~7日あたりに批判的な記事が載っただけで特に続報などないため議論がどうなったかよくわからないが、一時的に反発の声が上がっただけで終わったのかもしれない。教育庁は文法を習い始めた子供たちに(感嘆符で終わるという)感嘆文の正しい形式を学ばせるのが目的で、強調表現としての感嘆符の使用を制限する意図はないよいようだが、やはりルールとして書き方を国から指導されることには、いろいろ抵抗があったようだ。
[参考記事]
Statements, questions, commands and exclamations | GRAMMARIANISM
Michael Rosen: Exclamations, Nick Gibb, rubbish grammar, rubbish test.
-claim は叫ぶという意味の語尾。claim 自体は主張する、要求するという意味の動詞だが、clamation という単語は辞書にない。他に -claimで終わる単語には以下のものがある。
acclaim 賞賛する
declaim 演説する
disclaim 否認する、放棄する
proclaim 布告する
disclaim には disclamation という名詞も大きい辞書には載っているが、disclaimer「免責事項」という名詞形をホームページなどでよく見かけるね。