独男の雑記帳

コミュ障61歳独身男(結婚歴なし)の存在していた記録

キャサリン妃が朗読した児童書

ジム・トムリンソン(Jill Tomlinson)著「The owl who was afraid of the dark」を読んだ。

1968年に出版された児童書だが、キャサリン妃が今年2月にBBCの子供向けチャンネルCBeebiesで朗読するためにこの本を選んだと報道されて知った。

www.bbc.co.uk

news.livedoor.com

 

フクロウは夜行性だが、赤ちゃんフクロウ「プロップ (Plop)」は暗闇が怖く夜は外へ出られない。しかし近くの人や動物と暗闇について話をするうちに暗闇への恐怖を少しずつ克服し、やがてプロップはお父さんお母さんフクロウと一緒に夜空へ飛び立つというお話。駄々をこねていたプロップだが、お母さんやお父さんが辛抱強く支え、出会った人や動物との温かいやりとりを通して、少しずつ自信を得て世界を拡げていく様子が描かれている。

キャサリン妃は2月の「子どものメンタルヘルス週間」にちなんでこの本を選んだ。キャサリン妃自身も子供のとき読んでおり、今年のテーマ「共に成長する (Growing Together)」にふさわしいとして選んだとのこと。なお朗読されたCBeebiesチャンネルの「ベッドタイム・ストーリー」という番組は、これまでも多くの有名人が出演している長寿番組で、皇室からはキャサリン妃が初めてだった。

英語について言えば、他の英語の児童書についてもそうだが、児童書だからといって英語学習者が容易に読めるとは限らない。ところどころ意味のとりにくい単語や文があるかもしれない。でも100ページほどの本を読み通すのはさほど難しくはないだろう。なおキャサリン妃が番組で読んだものは原作本ではなく、10分ほどで朗読できる要約版。

ちなみにフクロウは owl だが、発音は /aʊl/。綴りを見るとオウルと言いそうになるがアウルが正しく、間違いやすいので英語学習者としては注意したい。プロップ家族は barn owl、メンフクロウというフクロウの種類で、ヨーロッパではよく見られる種類。物語の中でプロップがときどきするように、甲高い鳴き声を発するらしい。

メンフクロウ - Wikipedia

検索すると邦訳としては松永ふみ子「くらやみをこわがったフクロウぼうや」(1983年、偕成社)がある。

くらやみをこわがったフクロウぼうや (偕成社): 1983|国立国会図書館サーチ

 

なお最初に引用したBBC記事はキャサリン妃の画像のみだが、こちらの記事には短い動画が載っている。

www.bbc.com

これは物語を朗読した後に彼女が30秒ほど語ったメッセージ部分になる。Transcriptは脚注に(*1)。なお実際の朗読の動画はいくつかYouTubeに上がっているようだ。

 

さてこの本を読んだのは、キャサリン妃が選んだ本を読んでみたかったということではある。私は以前に英語の勉強としてロアルド・ダール (Roald Dahl) など児童書をあれこれ読んだ時期があったのだが、この本は知らなかった。しかしもう1つ大きな理由があり、それは作者についての記事を読んだからだ。

www.dailymail.co.uk

記事によれば、ジル・トムリンソンは1931年生まれ。オペラ歌手を志望して音楽学校を卒業し20歳で結婚。しかし1957頃から双極性障害を患い2回入院。その後作家を志望し、1967年に最初の物語 Hilda: the Hen を出版 (*2)。The owl who was afraid of the dark は1968年の出版。ところがその頃に多発性硬化症 (multiple sclerosis) を発症。その後、動物を主人公にした物語を12冊出版したが、その間に車椅子生活となり、口述筆記を行い、最終的には息や目の動きで文字を選ぶボードを使ったという。1976年、45歳で死去。娘1人と息子2人がいる。娘さんは「一番の思い出は母親の笑顔」と述べている。

 

個人的には私は童話を語る人ではなく、自分の人生を懸命に生き抜いた人 (作者) の話に心打たれる。苛酷な人生だったようが、彼女の作った物語は楽しく心温まる話で、多くの人に愛されているのはすばらしい。さらに今回キャサリン妃にも選ばれてよかったなと思う。

 


*1) Wow, what an encouraging tale. We can all feel scared sometimes just like our little owl friend Plop, but as Mrs. Barn Own said, “It’s better to find out about the things that scare us before we make up our mind”. And with the help of others, we can often face things that worry us. Now it’s time for bed. Night night, and sleep tight.

参考記事: Kate reads encouraging tale from childhood for CBeebies Bedtime Stories | Times Series

*2) これ以前1965年に、The Bus that went to Church という作品が16の出版社に断られたのち絵本として出版されたようだ。
Jill Tomlinson Books and Book Reviews | LoveReading4Kids