独男の雑記帳

60代コミュ障独身男(結婚歴なし)の存在していた記録

バイクで転倒したけど声をかけられなかった

バイクで転倒してしまった。いつも乗っている400ccのバイクを車検に出し、代車の原付に乗って帰る途中。車一台通れるかどうかの狭い急な坂道を慣れない原付でそろそろ降りていくと、向こうから自転車を押して登って来る女の人が見えた。少し左に寄せようとしたときに雨で濡れた路面で滑り、右側へ転倒した。

右ひざを道路に擦り、右手、右ひじも軽く打った。バイクは右のバックミラーが曲がった。原付とはいえ初めて乗るときはアクセルやブレーキ、車体の感覚など慣れない。バランスを崩したところに濡れた路面で滑ってしまった。慣れないためにスピードを出していなかったのは幸いだった。

右ひざはズボンが破れ擦りむいている。右手もちょっと痛い。でも普通に動く。体は大丈夫そうだ。そう思いつつよろよろと立ち上がり、バイクを起こし左に寄せた。

するとそれまで私の3メートル先くらいで自転車を手にして立っていた女の人は、自転車を押して私の横を黙って通り過ぎ、さらに坂を登って行った。

 

「あれ?」っと思った。自分の怪我やバイクの心配よりも、違和感に包まれた。目の前で人が転倒したら、「大丈夫ですか」と声をかけないだろうか。「大丈夫ですか?」「大丈夫です、ありがとうございます。」こうなる状況を心のどこかで想定していた。

救護義務を言ってるのではない。そもそも今回の転倒は相手に接触したわけではない。数メートル先の相手を見て少し左に寄ろうとした私の立ちゴケと言ってよく、相手に責任があるわけではない。でも黙って通り過ぎて行かれたときは、違和感というか不思議な感覚に包まれるのを感じざるを得なかった。

 

しかし帰宅してひとしきり落ち着いてから考えてみて、あんなものかなとも思い直した。女の人、暗くて顔はよく見えず、また私も動転していて相手をそんなに注意して見なかったのでよくわからないが、20代半ばの若い女の人だったろうか、あの人は私を無視しようとしたわけではない。無視しようあるいは関わらないようにしようと思えば、私が倒れている間に横をすり抜けて坂を登っていくことは出来た。そうはせず、あの人は私が立ち上がりバイクを起こすまで、自転車を手にしてじっと待っていた。おそらく、私は大丈夫そうだということを確かめて、進んで行ったのだ。もし私が倒れたままだったら、その時は、声をかける、手を貸す、救急車を呼ぶなどの措置を取ったのではないかと思われる。

確かに声かけは難しい。相手にかえって迷惑に思われる場合もあり、それを恐れて声かけしにくい人も多いだろう。また女性の場合、相手が得体の知れない男性であればなおさらだ。ましてや私は60手前の未婚男性、ヘルメットはかぶったままで隠れていたが頭も薄いし、警戒は当たり前かも (突然の自虐ネタ)。

 

そんなこんなで、むやみな声かけはしない、でも相手が大丈夫かどうかを観察し、大丈夫とわかったから立ち去る。あの人は賢明な判断をしたのかもしれない、むしろそう思えてきたのだった。

 

でもまあ私は、コミュ障を自称するとはいえ、目の前で人が転倒して他に誰も世話する人がいなければ、「大丈夫ですか?」と声をかけると思う。コミュ障の私が言うのは全くおかしいのだが、声をかけ合うのは悪いことではない。