独男の雑記帳

60代コミュ障独身男(結婚歴なし)の存在していた記録

バーゼル三国国境 Dreiländereck

スイスのバーゼルはドイツ、フランスと国境を接し、スイス・ドイツ・フランスの三国国境が存在する。三国が接している点はライン川中央にあるため足で立つことはできないが、近くのスイス側バーゼルの陸地に Dreiländereck という記念碑が立っている。ガイドブックなどでも紹介されており、訪れることにした。

「Dreiländereck」(ドライレンダーエック) という言葉自体は、ドイツ語で drei = three、länder = countries、eck = corner が組み合わさったもので、英語直訳で three countries corner、 つまりスイスに限らず一般的に「三国国境」を意味する。しかしバーゼルで Dreiländereck と呼ぶ場合は、三国国境近くの記念碑、あるいは記念碑の立っている場所を指す。正確には国境ではなく、いわば「ほぼ三国国境」。以下もその意味で使用する。

 

Dreiländereck 付近 地図。主な場所を番号で示す (以下の記述で引用)。

 

Dreiländereck へ行くには8番のトラムで Kleinhüningen で下車する。バーゼル中央駅 (スイス鉄道駅) 駅前からは、トラム乗り場に出て一番右側の「J」乗り場から乗る。

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乗車前にトラムの一日乗車券を自動販売機で買っておくと、バーゼル市内観光にも使用できて便利。9.90スイスフラン (2019年9月現在)。

 

バーゼル中央駅から8番トラムの Kleinhüningen 行きに乗る。なお8番トラムは Kleinhüningen 行きと、もう少し先の Weil am Rhein 行きがある。

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中央駅から20分で終点 Kleinhüningen に到着 (地図 1)。周りには特に何もなく、Dreiländereck への道順の標識もない。

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Google mapで確認する。小さな川をライン川方向へ進めばよい。

 

川を渡ったところのレストランを左へ。

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途中右側は Rhenus という大きな物流会社のヤードが広がっている。

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トラム停留所から歩いて7分ほど、ライン川に到達。標識が立っている。右に折れる。

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ライン川沿いの細い歩道を歩いて行く。いろいろな船が留まっている。

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船着き場なのだろう、「DREILÄNDERECK」と大きく示されている。船の向こうに見えるドイツとフランスにかかる橋も近づき、目標地点が近いことをうかがわせる。

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この先、上の道路に上がる階段があり、また川沿いの歩道上には何かのイベントのためらしくテントが張られていた。近くで作業していた人に聞いたら、Dreiländereck へはこのまま真っ直ぐとのこと。テントと壁の間の細いすき間をすり抜けて進む。

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Dreiländereck 到着! トラム駅から歩いて17分だった (地図 2)。

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思ったより高い。あとから調べたら高さは18.7メートル。スイスの彫刻家 Wilhelm Münger が1957年に製作したとのことで、かなり前からあるものだと知る。なお、この記事では「記念碑」と呼んでいるが、作者サイトにある「パイロン (Pylon)」 が適切な呼び方かもしれない。

記念碑の根本には羽根が3枚広がっていて、それぞれにスイス、フランス、ドイツの国旗が表裏に描かれている。

 

3方向から見る。

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ライン川下流側 (北側) を望む。立っているところはスイス、右はドイツ、左はフランス。三国国境地点は橋の手前、ライン川の中央に位置する。

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対岸のフランス側 (西側) を望む。下の画像は3枚の写真を Photoshop の Photomerge という機能を使ってパノラマ写真にしたもの。Photomergeという機能があることを知って初めて使ってみたが、まあまあうまく合成された。建物 (とくに左側の塔) の妙に傾いてしまっているのは合成の影響。

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Dreiländereck 記念碑近くに小さなゲートがあり、「はい、チーズ」など写真を撮るときの言葉がいろいろな国の言葉で書かれていた。中国語では「茄子」なんだね。これはつまり、写真を撮る人はこの辺に立って、記念碑位置にいる写真を撮られる人はこの言葉を言いましょうということなんだろう。

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なおゲートの後ろに船の舳先のようにせり出した建造物が見えるが、実はここは Sandoase というレストランだとあとで調べて知った。ホームページやネット上の画像を見てみると、賑やかなパーティも開かれるレストランだとわかる。 

私はライン川沿いのうら寂しい歩道をとぼとぼ歩いて来たのだが、実はこのレストランの前まで車で来ることもできる。

うら寂しいといえば、Dreiländereck を訪れている人も少なかった。私が訪れたのは9月の平日だが、見かけたのは犬を連れた地元民らしいおじさんと、ガイドらしい人と来ていた1人の女性だけだった。夏の週末なら、上のレストランとともに、賑わっているのかもしれない。

ひとしきり時間を過ごし写真を撮ったあと、ライン川沿いの道をまたとぼとぼと歩いて Kleinhüningen (地図 1) まで戻った。

 

Dreiländereck を見ました、じゃあ帰りましょうか。いや、ちょっと待て。

Dreiländereck はスイスの陸地に立っている記念碑。三国国境と呼んではいるが、国境を跨いでもいない。ここで踵を返して帰ることはできるだろうか。

というわけでさらにドイツに入り、先ほど Dreiländereck から見た橋を渡ってフランスに入ることにする。

 

Kleinhüningen からトラムの通りに沿って歩き、水路にかかる橋を渡る。

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橋の上から Dreiländereck を見ることができる。

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橋が下りになると、スイス・ドイツ国境と、その向こうにショッピングモールが見える。

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スイス・ドイツ国境 (地図 3) を歩いて進む。止められはしない。。シェンゲン協定加盟国のスイス、ドイツやフランスとの行き来はパスポート審査なしで可能で、90日以下滞在の日本人にも適用される。(正確には「あらゆる180日の期間内で最大90日間」。参考サイト: TABIZINE~人生に旅心を~。)

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なおここは8番トラムの Weil am Rhein Grenze という停留所になっており、 Kleinhüningen からトラムで来ることもできる。

 

ドイツに入国してすぐ左手に、ショッピングモール Rhein Center がある。

スイスはとにかく物価が高い。買い物はドイツへやってきてドイツで済ますという人は少なくないはずだ。

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ショッピングモールを過ぎライン川方向へ曲がると、橋の入口にさしかかる。

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人と自転車のみが通行できる。

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橋の中央には、このような板が設置されていた。Dreiländerbrücke と呼ぶらしい。つまり三国橋 (みくにばし)。2007年に完成した橋で、この記念板は10周年記念で2017年に設置されたようだ。なお、単スパンの歩行者・自転車専用橋としては世界最長、とのこと (三カ国橋 - Wikipedia)。

橋の上に国境の線が引かれているわけではないが、ここが国境だろう。右がフランス、左がドイツ。2国に跨る (地図 4)。

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上流 (バーゼル) 側を眺める。中央やや左下に Dreiländereck 記念碑が見える。右側はフランス、ライン川を挟んで中央から左はスイス。左端の一部はドイツになるかもしれない。三国国境点は中央下やや右寄りの辺りになろう。

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Dreiländereck 記念碑をズームアップして見る。

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下流側 (北側) を眺める。右ドイツ、左フランス。

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橋をフランス側に降りる。

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フランス側から見た橋。周辺を工事しているが、遊歩道を作ったり環境を整備しているようだ。

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橋を降りてそのまま進むと小さな広場に出る。Googleマップによれば、Place Abbatucci。

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疲れたので、このフランスの広場で休憩。 

 

ここから再び橋を渡りドイツに戻り、Rhein Center の中を少し見て回る。その後すぐ前の Weil am Rhein Grenze 停留所から8番トラムでバーゼル中央駅への帰途に着いた。

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ドイツ側から見たドイツ・スイス国境 (地図 3)。

 

以上、バーゼル北部の三国国境近くにある Dreiländereck を観光。さらに スイス・ドイツ国境へ行き、そこからゆっくり歩いて20分くらいで、スイス、ドイツ、フランスの3か国を回ることができたのだった。

 

人は境に立つことにおもしろさを感じる。日本でも関門トンネルの県境や、関東の三県県境はよく知られている。ロンドンのグリニッジ天文台を訪れた人は経度0度の子午線上に跨ってみる

ヨーロッパには三国国境が何か所もあり、中には陸路でアクセス可能なところもある。

de.wikipedia.org

機会あれば訪れてみたい。