独男の雑記帳

60代コミュ障独身男(結婚歴なし)の存在していた記録

ボードゲームの1場面

これは「囲碁」と呼ばれるボードゲームの1場面。

このゲームでは、2人のプレーヤーが黒石と白石のどちらかを持ち、お互いの石を交互に盤に置いていく。最終的に陣地が大きいほうが勝ちとなる。陣地とは、黒側ならば盤上の黒石とその囲む領域、白側ならば盤上の白石とその囲む領域である。ただし、相手の石を取り囲むと、相手の石を取り上げることが出来るというルールがある。相手の石を取り上げれば、そこは自分の陣地となる。

 

いかに自陣の勢力を強めていくか、相手の勢力を弱めるか。そしてまた、相手の石を取り上げることが出来るか、自分の石が取り上げられないか。これをお互いが考えながらゲームは進行していくため、盤上の黒石と白石は往々にして複雑に絡みあう。部分的なせりあいを読むことも大事だが、常に全体を見て戦略を考えて、うまく進めないといけない。どう展開していくのが最善か、複雑なパズルを解いていくようなおもしろさがある。

 

パズルといっても、正解のないパズルである。部分的には、ある状況で特定の場所に石を置かないと圧倒的に有利/不利になってしまう、この1手という正解手が存在する。しかし多くの場合、最善の選択は自身の方針に委ねられることが多い。最大の陣地を得る方法を追求することは大切だが、リスクを伴う場合が多い。必ずしも最善・最大ではなくても、より簡明で安全に相手より大きい陣地を確保する方法を選択することも多い。そのあたりの戦略もゲームのおもしろさだ。

 

パズル好きの人は多い。この複雑なパズルを試してみないだろうか。黒石と白石だけを用いて行われるゲームで、全世界に愛好者がいる。

 

コンピュータープログラムの開発も以前から行われて来たが、盤面が広く計算量が膨大になるため、人間のトッププレーヤーを越えるプログラムはなかなか現れなかった。しかし深層学習を利用したプログラムにより、状況は一変した。[1][2] 現在はコンピューターが人間を凌駕している。コンピューターの分析により、それまでの手順が評価し直され、新しい手順が生まれた。プログラムの進化により、最善手は変化している。つまり、決定的な正解が存在するわけではない。現在はコンピューターを参考にしながら研究することが、トッププレーヤーの間では普通になっている。ちなみに [1][2] の論文は、自然科学の論文発表の最高の場所である Nature誌に発表された。このゲームの研究が世界的に注目されていることの証左である。

 

冒頭の画像は、日本のトッププロ同士の戦いの一場面。どちらかが圧倒的に有利ということはなく、複雑に石が絡み合い、予測が難しい。コンピューターの分析によれば、この場面では黒がやや有利だったが、その後、白がやや有利になり、最後は黒が僅差で白に勝利した。1つ1つの手の意味は、プロによる解説がないと理解が難しいため、プロの解説を聞きながら観戦することになるが、見ているだけでもドキドキする戦いだった。[3] ゲームを理解すると、見る楽しみも得られる。

 

戦略と読みの複雑なパズル、挑戦してみてはいかがだろうか。

 

[1] google囲碁がプロとfacebookに勝ったってよ - 独男の雑記帳
[2] tabula rasa - 独男の雑記帳
[3] 第78期本因坊戦挑戦手合七番勝負【本因坊文裕 (井山裕太) vs 一力遼棋聖】【第4局2日目】 - YouTube