前記事で引用したボリス・ジョンソン英首相とドナルド・トランプ米大統領の会話切り取り動画
この中の we're not counting our chickens 「捕らぬタヌキの皮算用をしない」については前記事に書いた。
2人の会話の1分半ほどの短い動画には、この他にも勉強になる英語表現が詰まっている。
(1) come
but I think he's gonna make great progress come October, come November
トランプ「10月、11月になったらボリスは大いに前進するだろう」
come October という場合の come。「(時が)来ると」という意味だ。こちらの英和では 2a に用例が挙がっている。
仮定法現在と説明されることが多いが、前置詞としている辞典もある。
Come | Definition of Come by Lexico
学習者として大切なことは文法上の解釈よりもこのような用法があると知っておくこと。私自身は come のこの用法を見たのは初めてではないが前は文章で見たように思う。話し言葉でしかも大統領のような有名人が普通に使っているのを聞いて、なるほどこうやって使われるんだと納得した次第。
(2) another day
Trump: It's just another day in the office.
Johnson: It's tomorrow is another day in Paliament, that's what he meant.
トランプ「官邸はいつもと変わらぬ日だよ」
ジョンソン「国会では明日はよくなると彼は言ってるんだ」
It's just another day in the office. この場合の just another day は、いつもと変わらぬ日、の意味。just another で辞書にも載っている。
トランプ大統領の just another day を受けてジョンソン首相は、 another day を含む別の表現を持ち出す。Tomorrow is another day. 明日は別の日、(今日は悪かったが) 明日はきっとよくなる、明日は明日の風が吹く、という意味で用いられる表現だ。
しかも単に同じ言葉の別表現を持ち出すというだけでなく、トランプ大統領の just another day in the office を受けて、in Parliament (劣勢かつ最高裁からも自分の運営が否定された) 国会では tomorrow is another day 明日はよくなる、と自分の実際の状況に合わせて使っている。
さすが弁が立つボリス・ジョンソン、笑いを誘ううまい返しである。(首相としての力量はわからず、弁「は」立つ、と言っておくのがよいかもしれない。)
(3) 0-for-seven
we were 0-for-seven with the Supreme Court.
トランプ「我々は最高裁で7戦0勝だった」
0-for-seven は、7のうちゼロ、つまり7戦0勝、7連敗ということ。
注意したいのは zero-for-seven と書いているが、トランプ大統領が話しているように、 0 (zero) はアルファベットの O (オゥ) のように読む。
Cf. https://www.italki.com/question/435469
in US English we usually read "0 for 7" as "oh for seven," not "zero for seven." In US English it is very common to read the digit 0, zero, as if it were the letter O, oh.
(4) run the table
since then we've almost run the table, we've won a lot of decisions,
トランプ「それ以来我々はほとんど勝っている。たくさん勝訴してきた。」
run the table はスポーツである期間全勝することを意味する。またこのトランプ氏の発言のようにスポーツ以外でも、負け知らずの意味で使われる。
元々はビリヤードで相手に手番を渡すことなく、ブレークからすべてのボールをポケットに入れることに由来している。
Glossary of cue sports terms - Wikipedia
トランプ氏は run the table という表現をよく口にするのかもしれない。選挙関連で、すべての選挙に勝つという意味で使っている記事がいくつか見つかる。
以上、短い動画の中に勉強になる表現が満載だった。