独男の雑記帳

60代コミュ障独身男(結婚歴なし)の存在していた記録

DeepMindまたしても ~ AlphaFold2

先週(11月30日の週)はこの話題でネットがかなり盛り上がっていた。この件を掘り下げて説明できるような専門家ではないから、自分の記録としてニュース記事をペタペタ貼っておく。

 

gigazine.net

タンパク質はアミノ酸が数珠つなぎになった1本の鎖で、タンパク質ごとにアミノ酸の種類の配列が異なる。多くの場合タンパク質はその鎖が折り畳まれて(フォールドされて)タンパク質ごとに特定の形を取っている。アミノ酸配列からタンパク質の形が正確に予測できれば生命現象の理解や薬の開発に極めて有効だが、容易には達成できない課題だった。このタンパク質のフォールディング問題において、Google傘下のDeepMindが飛躍的な進歩を成し遂げたという。

BBCニュースにも取り上げられた。

www.bbc.com

こちらは科学誌Natureのニュース。

www.nature.com

DeepMindによる記事も貼りつけておく。

deepmind.com

 

今回実際にDeepMindのAlphaFold2というAIが成し遂げたのは、アミノ酸配列からタンパク質構造を予測するCASP-14というコンテストにおいて、実際の構造にかなり近い予測を出すことに成功したということ。

predictioncenter.org

他の参加者をぶっちぎりで引き離し、かつてない正確さで予測することに成功した。

もっとも、これでフォールディング問題が完全に解決されたわけではない、という注釈/難癖をつけることはできる。つまり、まだまだ予測が難しい事例はある。実際にどう予測したのか公開されていない。形の予測は成功したが、そもそもなぜそのように折り畳まれるか原理的に理解されたわけではないなどなど。

そのような注釈をつけることも可能だが、少なくとも今まで達成できなかったレベルの正確さを一気に達成してしまったことは確かであって、Gizazineの記事内にある言葉を借りれば「数十年後ではないにしても、少なくとも数年後である」と考えられていた問題を解決してしまった。すごいことだ。

 

DeepMindといえば2016年1月、およそ5年前、AlphaGoで世界を驚かせた。

hidsgo.hatenablog.com

このときのAlphaGoは過去のプロ棋士棋譜を学習して実力をつけた。

2017年10月にはAlphaGo Zeroが再び世界を驚かせた。AlphaGo Zeroは過去の棋譜に頼らず、囲碁の基本ルールから自己学習だけで世界のトップ棋士を凌ぐ実力になったのだった。

hidsgo.hatenablog.com

囲碁はルール自体は単純だが盤が広く変化パターンも多いため、チェスや将棋と比べ強いコンピューターソフトの開発は遅れていた。それをAlphaGoとAlphaGo Zeroは一気に進化させた。さきほど引用した言葉をまた使えば、「数十年後ではないにしても、少なくとも数年後である」と考えられていた問題を解決してしまったわけだ。

タンパク質のフォールディングは囲碁のような単純な原理ではない。少なくとも単純な原理として人は理解していない。その意味で、アミノ酸配列から何らかの原理だけでフォールデングを予想するAlphaFold Zeroの登場はまだまだ先かもしれない。

しかし近い将来 、AlphaFold3やAlphaFold4なるAIがさらなる飛躍を見せること、あるいは生命科学の別の問題において、AIが革新的な進歩を達成することは期待できるだろう。

AlphaGoの登場によって囲碁界は変わった。10年前は打たれなかった手、良くないとみなされていた手が今は普通に打たれるようになった。AlphaFold2は何をどう変えるだろうか。

 

ところで、DeepMind はロンドンを拠点にしている。こちらは AlphaFold2に関するDeepMindの動画だが、50秒あたりでCEO Demis Hassabisが話す背景にセントパンクラス駅が見える。

インタビューの場所は GoogleのUK本社内で、だから何というと、動画を見て場所がわかったから嬉しいというそれだけのことで余談を書いている。

Googleは現在キングスクロス駅北側にUK本社の巨大ビルを建設中。 こちらで少し触れた。

hidsgo.hatenablog.com

現在のUK本社はそのすぐ西側でセントパンクラス駅北側。Google mapでGoogle UKを検索すれば場所は見つかる。昨年通りすがりに撮った写真を貼っておく。入り口部分しか写ってないが、上の動画やgoogle mapからわかるが、このビルもかなり大きい。

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私自身の生活はつまらないものだが、衝撃的な進歩というものを目の当たりにするのは刺激的でおもしろい。