独男の雑記帳

60代コミュ障独身男(結婚歴なし)の存在していた記録

travel bubble トラベルバブル

*今日の英語*

travel bubble トラベルバブル

 

オーストラリアとニュージーランドがトラベルバブルを開始したらしい。

www.bbc.com

実は私は「トラベルバブル」を知らなかった。その言葉に釣られて記事を見たが、オーストラリアとニュージーランドで人の行き来が解禁になったらしいものの、トラベルバブルがよくわからない。バブルボールという人が入って遊ぶ球形の遊具があるが (下画像)、もしかしたら空飛ぶバブルボールが開発されて人の移動が可能になったのかとも思った。

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しかし今回は空飛ぶバブルボールの話ではなかった。

 

トラブルバブルの「バブル」はコロナ対策で使われる概念で、自分とリスクを共有する人を1つのバブルで包まれているとみなし、バブルの中の人とは交流しても、バブルの外の人とは距離を保ち、感染対策を徹底するということ。

「トラベルバブル」の場合は、バブルを形成している国々では隔離なしで出入国を可能とするが、それ以外の国とは渡航禁止措置や出入国に際して隔離が必要になる。今回オーストラリアとニュージーランドでトラブルバブルが開始されたが、それはつまりこの両国間では、コロナ以前のように、隔離なしで往来が自由になったということ。

もちろんトラブルバブルを形成する国は、感染が充分制御されていなければならない。オーストラリアもニュージーランドも厳しいロックダウンを施したこともあり、感染抑制に成功している。

 

この「バブル」という言葉は、私が知らなかっただけで、実は1年前から使われている。ニュージーランドのアーダーン (Jacinda Ardern) 首相が会見で述べて、世界中に拡散したようだ。以下は2020年4月の記事。

gendai.ismedia.jp

首相が会見時に使い始め、国民にはすっかりおなじみになったのが、「バブル」という言葉だ。ニュージーランドでは、親子や3世代のように血のつながりがある家族だけが世帯を形成するとは限らない。多様化が進み、血縁者以外も交じって世帯が構成されていることもある。首相はその状態を簡単で、親しみのある言葉、「バブル」に置き換えて話す。同一世帯の人々が一つの泡に包まれて暮らしているイメージだ。

バブルの中の誰かが感染者とわかっても、ウイルスはそのバブルの中に留まり、ほかのバブルにはうつらない。またバブルの中にさえいれば、ほかのバブルで感染者が出ても、それがうつってくることはない。バブルは壊れやすいので、壊さないよう注意して、その中にいようというわけだ。

 

最初に「バブル」という概念を提唱したのは、ニュージーランドのオタゴ大学 (University of Otago) 医学部のトリストラム・インガム (Tristram Ingham) 博士。

www.otago.ac.nz

www.stuff.co.nz

疫学者であるが筋ジストロフィーを患い車いす生活を営むインガム博士は、ニュージーランド筋ジストロフィー連盟会長を務めるなど、障がい者と学者の立場から障がい者福祉のために幅広く精力的に活動している。

障がい者新型コロナウイルスへの対処法をかわかりやすく伝える方法を思い巡らせていた博士は、誰もが知っているバブル (泡、シャボン玉) をイメージすること思いつき、ニュージーランド保健省に提案、ほどなくアーダーン首相も会見で使うこととなった。

介助に頼る社会的弱者にとってパンデミックは不安しかなかったが、博士は「恐れず、備えよう」とメッセージを発し、誰をバブルに含めるか考えて「自分のバブルを作ろう」と訴え、障がい者も対処出来ることを示したのだった。

博士自身も自分のバブルを作るにあたっては、一緒に活動している妻はもちろんバブルの一員だが、いつもの介助者はリスクがあるとしてキャンセルし、近くに住む義理の娘にバブルに加わってもらっている。

バブルの概念の大切な点は、単に隔離を意味するだけでなく、壊れないよう大切に守らなければならないことも伝えていることだ。

“They could think of a bubble as a fragile yet beautiful structure that has to be nurtured and preserved. And it introduced the concept of making sure you don’t burst your bubble.”

バブルは美しいが壊れやすい。ちょっとのことでハジけてしまう。バブルの外の人とは接触を避けソーシャルディスタンスを保ち、バブルの中へ戻るときは手洗い消毒など徹底する。自分のバブルを守る大切さを、直感的に伝えている。

 

ニュージーランドはアーダーン首相の指揮のもと感染抑制に成功しているが、成功を支える背景に多くの人にわかりやすいバブルの概念の導入もあったわけだ。

以上トラベルバブルに始まり、バブルという考えとその提唱者についての記事となった。