解説が趙治勲名誉名人だった。治勲先生が登場すると必ず何かが起こる。今回もある意味神回だった。治勲先生が司会の星合志保二段を解説者に仕立てたのだった。
今年度のNHK囲碁、コロナ対策として司会の「ほっしー」こと星合志保二段は、最初と最後だけ登場、対局中は解説者が一人で石を並べて解説する形になった。
解説者が大盤横で解説している間、星合二段は声だけで質問しながら解説者を手助け(声助け)するわけだが、せめてワイプで出してくれないかと多くのほっしーファン(少なくとも私1名)は思っていた。
ちなみにこのとき星合二段は解説者と別の部屋に居るわけではなく、解説者を映しているカメラの横に立って解説者と向き合う形で話をしているらしい。星合二段が日本棋院の「ポン抜き情報局(第4局)」に先月ゲスト出演したときに話していた。下に動画リンク、その話題のところ(27分15秒くらい)から。
さて本局。最初はいつも通り解説者1人が大盤横に立ち解説。ほっしーは天の声係。
中盤にさしかかったところで石がからみあう難しい戦いになり、両者が考慮時間を使い合う。
治勲先生「考慮時間何秒ですか?」
ほっしー「60秒です」
治勲先生「60秒ですか、じゃちょっとね、ここで60秒ありますんで、星合さんの顔を見たいということで、ちょっと代わりましょうね、バトンタッチ」
とほっしーへ解説役を手渡す。
ほっしー「ちょっと失礼いたします、すごいお久しぶりです、という感じなんですけれども…」と登場。
対局中に登場するのは、コロナで中断する前の昨年5月以来ということになる。
間違いやすいシショウを最後まで並べつつ
中央の場面を解説。
その後考慮時間になると、ときどき解説者ほっしーが登場。これは左下の白ハネツギの意味を説明。
局面が進行し、右辺の折衝で白が最後の考慮時間に入る。黒はすでに考慮時間を使い切っていたため、本対局最後の考慮時間。すかさず治勲先生が交代を促す。
解説の星合二段、右辺の状況を説明。
結局合計5回の登場となった。星合さんを見たいという視聴者の願いを、治勲先生が型破りで楽しい計らいでかなえてくれた。
惜しむらくは、今回は対局時間が大変長くなったようで、放送では解説もかなりカットが入っていたらしいことだった。突然解説者が入れ替わっていたり、話がいきなり始まったり、あるいは途中で途切れたりということがところどころ見受けられた。
それでも司会棋士が解説を任されるという、かつてない設定の記念回となった。
対局は中央の戦いで劣勢になった白が最終的には1目半で勝ち、余正麒八段が 井山裕太NHK杯の連覇を阻んだのだった。