今年度の第70回NHK囲碁トーナメントは、3月19日に決勝戦を終えた。いつものように遅ればせながら (遅れすぎだ…)、簡単にメモ。
今回の決勝戦は、一力棋聖・NHK杯と関天元の対戦。一力棋聖は3連覇がかかっており、関天元が勝てば初優勝となる。解説は井山本因坊。司会はいつもの星合三段。
対局は大激戦となった。今年度の対局で一番の激戦ではなかったろうか。とは言え具体的に石がどのように絡み合って大激戦なのかを説明する術は自分にはなく、ひたすら「大激戦だった」と述べるしかない… AI評価値では中盤で白の関天元が90%有利となったが、黒の一力棋聖は盛り返し、終盤では1手ごとに評価値が大きく揺れる場面も多く、かなり細かいらしいことが見て取れた。結局300手を越える大熱戦の末、関天元が半目勝ちし初NHK杯を獲得した。NHKでは圧倒的な力を見せる一力棋聖は三連覇ならずということで終わった。
対局中の両者。マスク規制緩和前の収録なのでマスクをしている。今はマスクはしなくてもよい。
このブログのNHK杯記事では、囲碁の内容よりも、周辺のおもしろエピソードを記録しているが、今回はシチョウを並べる本因坊。若手が伸びて来ているとはいえ、今もトップ争いに君臨する井山本因坊 (正式には本因坊文裕と呼ぶべきか) が長いシチョウを並べていき、司会の星合さんはただ見ているだけという図。ほっしーこと星合さんも「すみません、ほんとにもう、文裕本因坊にシチョウを並べさせて」と述べて、おかしかった。
シチョウは黒がいいですね。
たまにしかNHK杯を見ない人からは、なぜアシスタントは見ているだけで手を動かさないのかなどと思われてしまいそうだが、実は司会と解説者の間はアクリル板で仕切られ、星合さんは石を並べられない。コロナ仕様。個人的には、ぱっと見で気づきにくい垂直さでアクリル板が置かれているのがすごいと思う。
シチョウといえば、準決勝第2局でも解説の羽根九段がシチョウを並べる場面が3回あった。プロ棋士ならひと目でわかるであろうが、井山本因坊も羽根九段も丁寧に並べてくださった。決して面倒とは思っていないだろう。とかく「これはこうですね」と説明して、見ている人たちも「そうなのだろう」で済ませてしまいがちではある。しかし、どんな分野でもそうなのだが、何となくわかった感じはしているが実はよくわかっていないことを、具体的に手順を示して理解するということは、とても大事なことではある。
番組は対局のあと表彰式が行われ、来年度の番組について特に説明もなく終わった。司会は誰になるのだろうと思っていたら、星合さんがツイートした。
来期もNHK杯テレビ囲碁トーナメントの司会を務めさせていただきます。
— 星合志保 (@shiho_hoshiai) 2023年3月19日
読み上げ4年、司会5年目、
合わせて9年目に突入です…😳
来期からセットがガラッと変わり、大盤もタッチパネルになります。
早碁の魅力を存分にお伝えできるように引き続き頑張ります!
よろしくお願いいたします🌸 pic.twitter.com/NedRITKLwu
なんと来年度もほっしー。これは予想しなかった。司会者は3年交代で続いており、前の長島梢恵三段が4年継続、さすがに星合さんも4年務めたので交代だと思っていた。5年目とは。まあ司会者として安心して見ていられるということもあるだろうし、セットが大きく変わるようなので、番組に慣れている人にまずは担当してもらうということもあるのかもしれない。
そう、ツイートにもあるがセットが変わり、タッチパネルになるらしい。これはいろいろ変わりますね。検討図を並べるのは楽そう。シチョウも^^
実は講座番組「囲碁フォーカス」もタッチパネルになる。いつもはトーナメントの前に見るが、決勝戦の日は高校野球のため月曜深夜に時間が変更されたため、NHKプラスで後日見てわかった。来年度の番組紹介でタッチパネルも登場していた。
タッチパネル、マスクなし対局、アクリル板もなくなるだろうか。かなりの仕様変更になりそう。
来年度、楽しみですね。