今年7月に行われた棋戦解説で、レドモンド九段が英語の囲碁用語を紹介していたので記録しておきたい。
2023年7月15日、金沢市で開催された第48期碁聖戦第2局、井山碁聖 vs 一力棋聖。佐田七段がYouTube解説、そこに大盤解説のレドモンド九段が訪れた。対局解説と並行して、佐田七段がレドモンド九段に囲碁用語を英語でどう呼ぶかを質問して場をつないでいった。
以下の動画で2時間13分45秒あたりから、レドモンド九段が退場する2時間27分16秒あたりまで。
以下、動画の中で紹介された用語。
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ツケ : attachment。tsukeでも大体通用する。
ハネ : hane。適切な英語がなく英訳されず使われた。
ツギ : connection
カタツギ : solid connection
カケツギ : 「カケツギ(掛け継ぎ)」の直訳で hanging connection。中国ではカケツギは「虎の口」と呼ばれ、最近は中国語由来の tiger’s mouth が使われてきている。
下図の形 (三々定石で双方がケイマ) : flying daggers (*1)
シチョウ : ladder (はしご)
ゲタ : net (暴れようとする石を網で捕らえるイメージ)
両アタリ : double atari
ヌキ : take (つまり、特別な用語というより単に石を「取る」意味)
手筋 : チェスにならって tactics と呼ばれることがあるが、「筋のよさ」の意味合いが tactics では出ず、ぴったり「手筋」の訳語になっていない。昔は強い人は日本語を使って tesuji と言った。
コウ : ko
一手寄せコウ : one-step approach ko
セキ : seki
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ネットを調べれば用語集などは見つかるだろうが (*2)、ここではこの動画の中で紹介された用語ということで記録しておく。レドモンド九段のわかりやすい説明と、佐田七段の素直な質問と反応がよかった。
私は海外で囲碁を打ったことは1度だけあるが (*3)、それだけで、あとはずっと以前にオンライン対局でごく短いチャットのやり取りをして打ったことがあるくらいだ (*4)。囲碁英語はあまり知らず、この配信のやり取りを興味深く聞いた。
配信内で宣伝されていたレドモンド先生の YouTubeチャンネルはこちら。英語動画が多く、囲碁だけでなく英語の勉強にもなるでしょう。
囲碁英語といえば、6年前にNHK「囲碁フォーカス」で、ダイアナ・ガーネットさんが囲碁英語フレーズを紹介した。以下の記事にまとめておいてよかった。これはなかなか画期的だった。
英語で囲碁、いつかできるといいな。
*1) flying dagger には相手のミスを誘うような新手・奇手の意味があるようで、それが黒白双方から出て複数形の flying daggers なのかもしれない。
*2) 英語囲碁用語集
British Go Journal - Glossary Of Go Terms | British Go Association
Japanese Go Terms at Sensei's Library
*3) 20数年前ケンブリッジ (英国) の囲碁クラブをふらりと訪れ、たしか2人と対局したが、級レベルの自分は棋力が足りずボコボコにされた。
*4) Yahoo Games 囲碁の思い出 - 独男の雑記帳