独男の雑記帳

60代コミュ障独身男(結婚歴なし)の存在していた記録

procrastinate

procrastinate。私がこよなく愛した単語だった。意味は「先延ばしする」。単に延期するなら postpone という単語もあるが、procrastinate には、今すべきこと、または今やれるはずのことを、何からかの自分の心持ちよって先延ばしするネガティブな意味合いがある。procrastinate する人、つまり先延ばしする人は procrastinator だ。

 

私は先延ばしする人だった。先延ばしというか、締め切りぎりぎりじゃないと腰が上がらない。

レポートの締め切りまで1週間。構想は頭の中で考えておこう。あと3日、もうそろそろ書かないと。一度書いて1日置いて推敲するのがいいぞ。あと1日、まだ全然、もうやらないと。あと半日、これは徹夜になりそうだ (まだ動かない)。締め切りは明日の午前10時。今は夜10時。早く、そうだね (動かない)。夜中3時。もう、えいやっ、でやろうよ、そうしよう、背水の陣。(何か書き始める。) え、ちょっと、これ数時間じゃ終わらない、3日は最低必要、どうしよう、、ああでも、もう仕方ない。いちおう形だけ。うーん、えい、と1時間作業。ちょっとだけ眠る。ざっと見直して誤字訂正。10時10分前、提出。あー何でもっと早くささっと片付けないのかなあ。

毎度毎度繰り返されるこのパターン。

 

20年くらい前に英語の procrastinate という単語を知ったとき、これはまさに私を表す単語、私のために作られた単語ではないかと思った。私が自分の性質として熟知している「やらなきゃいけないと思いつつグダグダ先延ばしする」という行動を1語で表す単語があるとは。単語の存在に感動すらした。しばらくは「好きな英単語は?」と聞かれたとき「procrastinate」と答えていたものだ。いや実際は誰にもそんな質問はされなかったが、少なくとも私の頭の中ではそんなやりとりをしていた。

 

このちょっと難しそうな procrastinateという単語は、今では日本人の間でもよく知られるようになったと思う。2016年のTEDトークがきっかけだと思っている。

Inside the mind of a master procrastinator, presented by Tim Urban

www.ted.com

 

日本語の紹介記事 (Gigazine)

gigazine.net

 

このTEDがちょっとバズり、「私もそう」「これは私だ」と共感する人が続々現れ、「先延ばしする人の特徴」「先延ばしを克服する5つの法則」みたいな感じの記事が数多くネットに現れた。いやもっと前から記事はいろいろあったのかもしれないが、TEDが目立ったため勝手にそんな印象を私は持っているという話ではあるが。

私はこのブログを始めて以来、思い入れのある procrastinate について書きたいとずっと思っていたが、このTEDがバズって、先を越されたなという感じを持ったものだ。もっともブログは2014年からでTEDは2016年だから、先延ばししすぎているのだが。

 

さて今 procrastinateについて書いているのは、最近また procrastinate – 締め切り迫る – パニックのパターンを経験したからだ。

4月以来の在宅期間、本来この期間にやっておくことはあった。資料を読んでレポートを1つ2つ書き上げておく。その他自分としてやっておきたいことが多々あった。何も出来ていない…。在宅期間の終わりはプチパニックだった。しかしはっきりこの日に提出という締め切りがなかったため、未だに終わっていない…

 

以前は procrastinate について、きちんと出来ない自分特有の性質と捉えていた。しかしある種の発達障害の人はこの先延ばしの傾向を有するということを知るようになった。自分だけの特徴ではなく、広く存在する行動パターンで、対処すべき、また対処できる問題と捉えておくのは大切だ。ただし今のところ、自分がやらなければいけないタスクの具体的な処理や、問題を生ずる自分の行動パターンをどうするかについて、解決がもたらされているわけではない。

ということで、procrastinate は私を表す単語としてとても愛した単語だった。procrastinator の私は今もひとり闘っている。