昨夏 (2019年) ロンドンを訪れた際、行ってみようと思っていたのはストラトフォード (Stratford) だ。2012年ロンドン五輪のメイン会場だった場所。前回のロンドン訪問は2010年なのだが、実はその時にストラトフォードを訪れて建設中のスタジアムなどを見ていた。
その記事はこちら
あのとき工事中だった選手村やスタジアムは今どうなっているのだろうか。それを確かめたかったのだ。
まずは選手村。
下左の画像は、上記2010年記事で工事中選手村として掲載した写真。
下右は2019年、同じ場所で撮影した写真。
2010年は工事中でまだ建物は何もなかったところに、2019年には6-7階のアパートが建っていた。
実は2010年に訪れたとき、駅の近くを適当に歩いていたら「Welcome to ATHLETES VILLAGE」と工事中の敷地を囲う青い壁に描かれていたので、ここが選手村建設予定地と思ったのだった。2019年に訪れる際も、選手村が実際どこにどんな建物建設され、その後どうなったか、調べてはなかった。そのため2019年にこれらのアパートを見たとき、五輪開催時に選手たちが使用した宿舎を一般用に改装したものかと思った。
しかしこの記事を書くにあたり調べていて、それは間違いだったことがわかった。
まずこの場所は選手村として区分された、ストラトフォード駅東側の広大なエリアの南西端にあたる。選手村の中心は、2010年の写真中央奥に見える白い建物よりもさらに奥のほうになる。そして2019年の茶色い外観のアパートは2017年に建てられたことが、Googleマップのヒストリー機能で確認できた。だから選手村で使用された建物ではない。オリンピック開催時にこの場所がどうなっていたかはGoogleマップで確認できなかったが、区画の端っこであることからして、何も建っていなかった可能性が高い。
というわけで昨年見たアパートは選手村建物ではないことが判明した。しかしこの場所を訪れた目的は2010年に撮影した場所がどうなったか見てみるということなので、本当に選手村建物だったかどうかは問題ではないとはいえる。
2010年の写真で中央奥に見える白い建物は、2019年も存在した。
下左に2010年の画像をもう一度やや拡大して示す。
下右が2019年に建物近くで撮った写真。
白い外壁や全体の構造から、同一のものといえる。ただし2010年のときは工事中の敷地内なので近くまでは行っておらず、同じ構造の建物を幾棟も建てたうちの1つという可能性もある。それでも撮影場所からの方向や距離感から同一のものとみなして大丈夫と思う。
いずれにしろこの建物は選手宿舎として使用された建物である可能性が高い。
以前と変わった風景、以前と変わらない風景。それらを見るのが楽しい。
一旦ストラットフォード駅に戻り、オリンピック・パークへ向かう。正式名称はクイーン・エリザベス・オリンピック・パーク (Queen Elizabeth II Olympic Park)。
2012年ロンドン・オリンピックの開会式そして閉会式の会場となったオリンピック・スタジアム。
建設中の2010年 (下左) とオリンピック後7年経過した2019年 (下右)。
メインスタジアムは、現在はサッカー・プレミアリーグのウエストハム・ユナイテッド (Westham United) のホームスタジアムとなっている。スタジアムの上に突き出していたライトが取り払われてるのがわかる。なお上の2枚は撮影している場所は異なる。2010年の写真は2019年の左後方から撮っている。
2012年はこの会場が沸きに沸いたわけだ。開会式では女王陛下とジェームス・ボンドがスタジアム上空のヘリコプターから降下する様子が映じられた (*)。
現在は広い公園敷地の中の地元サッカーチームのホームグラウンドとして親しまれているようだ。
* ボンドのスタント役の方はその後事故で亡くなられました。ご冥福をお祈りします。
水泳会場となったアクアスティックセンター (Aquastic Centre)。
左下、2010年当時は何の建物かわからなかった。
右下、現在は公共のプールとして利用されている。
さまざまな激闘が行われたであろう会場の前の小川には、足漕ぎボートがのどかに行き来していた。
さて2010年に訪れたときは、工事中のオリンピック・パークを見学できる見晴らし場が作られていた。
これは2010年におそらく電車の中から撮った写真だが、中央右側に見えるエメラルド色の建物がその見晴らし場で、記事の上のほうに載せた2010年のオリンピック・スタジアムの写真は、この緑色の建物から撮られたものだ。
緑色の建物は現在、View Tubeという、バイカー (自転車に乗る人) やランナーのためのコミュニティ・センターとなっている
昨年訪れたとき、2010年の写真を撮った場所を探したのだが、いろいろ思い違いがあってこの View Tube が前の撮影場所だとわからなかった。あとで調べてここがかつての見晴らし場とわかり、訪れなかったことを残念に思った。
2019年、スタジアム近くにこんなタワーが建っていた。2010年にはなかった。
「オ―ビット」(Orbit)、正式には資金提供者の名前を入れて「アルセロール・ミッタル・オ―ビット」(ArcelorMittal Orbit) と呼ばれる展望台で、2012年オリンピック開催年に完成したらしい。一番上に見える円盤のようなところが高さ110mの展望台。中央の赤い鉄骨を白い階段通路がらせん状に取り囲んでいる。さらに、すべり台が後に設置されたようだ。この画像ではわかりにくいが、チューブの中を上からが滑り降りて来ることができるのだが、正直かなり怖いと思う (閉所 + 高所)。
2010年の時点で駅周辺はかなり賑やかになっていたが、今はウェストフィールド (Westfield) という大きなショッピングセンターが隣接している。ウェストフィールドはロンドン西部のお店が有名だが、同系統の運営。ウェストフィールド・ストラットフォード・シティは2011年開業ということなので、前回訪れたときはまだ工事中だったはずだ。
イギリスでラーメンが人気と聞くが、これは駅からオリンピック・パーク方面へ出たところにあるラーメン屋さん。TONKOTSU Stratford。
ストラトフォードはオリンピック開催決定前はロンドン東部の小さな街だった。私の友人がかつて住んでいたが、住居費が安く気取らない住みやすいエリアだからだった。(その当時のストラトフォードを私は訪れたことはなく、話に聞く印象で書いている。) それがオリンピック会場に決まり大再開発され、そして今はオリンピック後の時代を過ごしている。再開発の評価や住民の意識などについては、実際は調べたわけでもなくわからない。しかしオリンピック後7年を経た昨年訪れ、駅周辺の賑わいや人々がのどかに楽しむオリンピック・パークの様子を見ると、再開発が街に与えたプラスの効果はずっと続いていると思った。